西武そごうの新年CMに見る広告のあり方
西武そごうの新年のCMは毎年クオリティーが高く話題性もあり、企業メッセージである「わたしは、私」を伝えるという意味においては大成功の事例です。(2020年の事例はこちら)
だけど、すっきりしないのは、話題性の先にあるものが5店舗の閉店だったり、1000人規模の解雇だったりするニュースを見て、イメージ重視でフワフワした結果が業績悪化では本末顛倒と思います。
これを見てどう思うのか
お正月にこの広告を見て、その展開にと企業メッセージに感動し「よしっ頑張ろう!」と、せいぜいお正月三が日くらいは思いつつ、そしてSNSで話題にできて「いい広告だよね」とシェアしていますよね。
そこから実際に西武そごうに足を運び、買い物する人ってまずいないのではないでしょうか。
私自身、このCMは大変すばらしく内容に心を打たれました。しかし1/4に所用で池袋に出かけるも、帰りは宮城ふるさとプラザに寄って行こうとは思っても、池袋西武の存在すら忘れていました。
イメージ広告だから企業メッセージだから売上に直接結びつかなくても問題ないという意見もあります。
それでも「今やるべきではない」
西武そごうの広告は、今年に始まったものではありません。
2016年の終わりから年明けは樹木希林さん、2018年は木村拓哉さんを起用した「わたしは、私」のCMが話題を呼びました。また、昨年は「女の時代、なんていらない?」で、パイを投げつけられる安藤サクラさんのビジュアルが炎上しました。いづれも核となるものは「わたしは、私」です。
このような広告を積み上げてきた西武そごうですが、2019年は大量の閉店とリストラ。明るい話題がないのです。
もし、一連の広告が今年始まったものであれば、それこそ「ひっくり返そう」というメッセージを軸に、V字回復のための施策を加速させるものになるでしょう。ですが、これまでも大掛かりな正月CMを打ってきたにも関わらず、実態は上昇していないのです。
やるべきことは「CMだけでは終わらないプロジェクト」
やれ企業メッセージが伝わればよいだの、心を打つ広告だからよいだの、いろいろ意見はあります。でも結局のところ売上が上がらずに会社の存続さえも危うくなってしまっては、CMどころの話ではなくなりますよね。
せっかく「わたしは、私」というスローガンを掲げCMを出し続けているのであれば、「わたしは、私」であるために企業はどうあるべきかを示さねば意味がありません。
西武そごうは小売店ですから、自分らしくあるためのライフスタイルの提案等がほしいです。お客様のために「わたしは、私」であるためのアイテムを仕入れたり開発したり、お店に足を運びたくなるような具体的な何かを提示できないだろうか。
今年の西武そごうは何をどうひっくり返すのか、かつて西武百貨店がセゾングループだった時は新しいことを取り入れていたように、百貨店らしくない斬新な取り組みに期待しています。
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