東急電鉄「化粧はみっともない」広告から啓蒙系のコツを探る
マナーやモラルを呼びかける、啓蒙系のポスターは難しいですね。小学生が授業で作る「お年寄りに親切に」みたいなものとはワケが違う。
ただ、販促系であれ啓蒙系であれ「何か問題があってそれを解決する」という目的とゴールを明確にすることは大切です。
相手を攻撃せずに「車内での化粧をやめてもらう」というゴールを明確にしていたら評価されたかもしれません。
当事者からの反感を買わずに、心に届くデザインのコツ…探ってみましょう。
電車で化粧の賛否と難しい線引きの背景
電車で化粧することの賛否については大概分かれてしまうものの、マナーという面で良いことではありません。
ただ「それだけ」のことなのに、「みっともない」だけの理由であれば、予算かけて排除する理由がわかりません。
化粧に近いことであれば、電車の中で食事するのはどうなんだろう。在来線だとみっともないけど新幹線だと車内販売もある。在来線でも東北本線(仙台以北)は牧歌的でしたし、騒ぐ子どもにお菓子あげるのはどうだろう…
線引きが難しいところに予算を使うのであれば、もっと痴漢撲滅に力を入れて欲しいものです。これは犯罪ですし免罪もあったりと複雑ですが、痴漢がなくなれば免罪も含めて解決します。スリや窃盗、置き引きもそうですね。
車内で騒ぐことや、お酒飲むこと、呑んだくれて酔っ払いが席を陣取り、しかも…汚したり。
実は迷惑行為「車内で化粧しないで」
それでもあえて、このような啓蒙ポスターが必要であるのは、おそらく東急電鉄側に車内で化粧することに関しての問い合わせやクレームが多いからと想定します。
なら、そのクレームはどんなものか。
単に不愉快なだけでなく、具体的にどんな迷惑を周りにかけるのか、そこを見せなくては当事者から反感を買うだけで共感されません。
実は化粧ってかなりの迷惑行為。
隣に座っていた人のアイシャドウが膝に落ちて服を汚されたり、コンパクトミラーに反射した太陽の光が目に直撃したり、同じ車内でネイルを塗り始めた人がいて臭いが充満、軽くテロ行為だったり…
毎回そんなことに遭遇するワケではありませんが、トラブルになることが含まれているのです。
そんな周囲とのトラブルを防ぐためのお願いとしてだったら、車内で化粧をしないで欲しいという内容も、男性からだけではなく女性からも共感されたのではないでしょうか。そんなデザイン表現、きっとできたはずです。
他の事業を巻き込んでのキャンペーン
もし「みっともない」という切り口であるならば、それは東急電鉄が言うことではなく、雑誌等のメディアや化粧品メーカー・小売店が言うのであれば、説得力はあったかもしれません。
東急ならば百貨店やショッピングセンターを持っており、化粧品の小売店やメーカー直販ショップ、メイクサロンもテナントに入っていますよね。
そのような鉄道事業以外の部分や他者のサービスとのタイアップであれば、当事者の女性からここまで反感は買わなかったに違いないありません。
内容も「電車メイクはもう卒業!」「朝から余裕がある女性が魅力的!」という切り口で、生活の根本を見直し朝の忙しい時間を効率良く過ごすハウツーや、快適に使えるパウダールームの紹介に力を入れても、結果としては車内での化粧は減るかもしれない。
女性の中にもどこか、後ろめたい部分はあるであろう「電車での化粧」。
モラルやマナーに絡む広告展開は難しい線引きがありますが、それも販促と同じで「誰かの困りごとを解決する」というのが理想ですね。
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・この記事を書いた竹村由佳ってどんな人?
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